「カフェインの記憶力への影響」の調査結果が、アリゾナ大学により発表されました。(2016/10/14)
概要
60名のアリゾナ大学の学生が対象、一般的に行われている「注意力」でなく、「記憶力」測定を行っています。また、朝と昼で、摂取タイミングによる効果の差を調査しました。
記憶力測定
意識して覚えた記憶(顕在記憶)と、無意識に覚えている記憶(潜在記憶)が測定されました。Cued Recallが顕在記憶、Primingが潜在記憶にあたります。
わかったことは、
- 朝に180mgカフェインで顕在記憶の向上
- 昼にカフェイン摂取しても効果なし
- 運動やストレッチでは記憶力は上がらない
論文の著者は、カフェインで潜在記憶が落ちると推測していましたが、変化はみられませんでした。テスト前にストレッチや運動をしても無意味なようですが、運動は、長期的に行えば記憶力が向上するエビデンスが他研究で示唆されています。
主観的な覚醒度
カフェイン摂取前と、2時間の記憶力測定の前後と間に、主観的な覚醒度を測りました。
わかったことは、
- 朝にカフェインで覚醒度の向上
- 昼(2-4pm)にカフェインを摂取しても、覚醒度に変化なし
- 運動により覚醒度が向上
朝に関しては、カフェインで統計的に明らかに覚醒度が向上しています。
興味深いのは、昼では、プラセボ郡(10mgのカフェイン)の方が覚醒したと報告しているんですね。また、25%のカフェイン郡(180mg)は、マイナスに作用したと報告しています。このマイナス作用の報告は、朝では全くみられませんでした。
注意力に関しては効果があると思いますが、記憶力に関しては昼食後にとっても無意味のようです。記憶力向上の効果は、脳内ノルアドレナリン濃度が高まったことによるものか、海馬に高い密度で存在するアデノシン受容体をブロックすることで発揮すると推測しています。なので、朝にカフェイン摂取で、長期記憶にも効果があるのではないかと考えられています。
昼のコーヒーは勧められていますが、健常者を対象とした調査では、覚醒・記憶力ともに効果ないという結果でました。
FDA(アメリカ食品医薬品局)は、純の粉末状カフェインを規制する警告文書をホームページ掲載し、最近では、スマドラ企業に対してもレターを送っているようです。そして、製品の押収や、差止命令などの行動を取ることを警告しています。
オーバードーズによる死亡例
規制の理由に、二人の若者の死があります。日本のテレビでは報道はされてないと思いますが、アメリカでは2014年に、輝かしい未来を持つ若者が亡くなり、規制する流れができました。
Logan James Stiner
Logan Stinerは、18歳という若さで亡くなりました。彼は、プロムキング(学校で選ばれる最もカッコいい男)であり、レスリングの選手でした。高校卒業後、大学進学のため勉強をする計画を立てていたそうです。
卒業数日前、忙しい週であったようでオーバードーズしたとみられています。彼の死亡後の血液からは、通常のコーヒー摂取者の23倍のカフェインが検出されました。
James Wade Sweatt
彼は、大学を卒業し、そして結婚しばたかりの24歳の若さでした。健康オタクで、ネットから正しい摂取量を計る換算表までダウンロードしていたり、ダイエットマウンテンデューを好んでいたようです。炭酸・砂糖を避けるため、見つけ出したのがカフェインでした。オーバードーズにより、昏睡状態になり死亡したとみられています。
二人の両親もメディアに積極的に発言し、カフェインの危険性を訴えています。よくメディアで使われていた言葉が、
a single teaspoon of the stimulant can be fatal
「ティースプーン一杯分で致死に至る可能性がある」ティースプーン一杯分で、コーヒーの25倍のカフェインに相当します。嘔吐はまだマシな副作用で、吐く前に、昏睡状態になる可能性がある劇薬です。
カフェインは少量でも効果がある
Effects of a single, oral 60 mg caffeine dose on attention in healthy adult subjects.(2016/09/20)
2カ月前に、健常者(82名,40-60歳)に対して行われた最新調査です。
プラセボ群に比べ60mgのカフェインで見られた効果は、
- 持続性注意力の向上
- 反応速度・眼球運動性の向上
- エラー率の減少
- 主観的な気分の向上
Administration of a 60 mg caffeine dose resulted in a significant improvement in sustained attention compared with the placebo. Also a significantly improved peak saccadic velocity and reaction time performance was found, and decreased error rate. Significantly increased feelings of alertness, contentment and overall mood after caffeine treatment compared with placebo were observed.
パウダーがもうアウトになる流れなので、錠剤だとProLab, プロラブ, カフェイン、200 mg、100錠がコスパが良く人気です。この商品アメリカAmazonで$8.99ですが、Iherbだと¥729です(どちらも複数購入で割引があります)。ProLabの商品は、大量に仕入れると格安になるようで、Iherbの方が安く手に入ります。
200mgってすごく量が多いですよね。なぜかと言うと、プロラブってスポーツ専用のサプリメントなんです。スポーツとかなら200-600mgの用量が臨床試験で使われます。しかし、認知機能を計測する臨床試験では50-100mgが多く、200mgまで用いるのは珍しい方です。スポーツ目的じゃなければ、1回で高用量は必要ないですね。
100%の純カフェインパウダーを、スマドラのサプライヤーから購入している人もいると思いますが、恐らく購入できなくなります。
50mg程度でも認知機能の向上を示すエビデンスは複数あるので、”少量から”自分のベストの用量を見つけると良いと思います。日によって用量を増やしたくなる時は、一度に増やすより、1-2時間開けて(ピーク時の様子を見て)、ちゃんと日の上限も決めて、少量を複数回に分けて摂取した方が良いと思います。
L-テアニンは、カフェインとのスタックが有名で、お勧めスマドラで常に上位にランクされています。しかし、効果が体感できないという人も多くいます。
L-テアニンは、なぜ何故お勧めされてるの?
- 軽度の抗ストレス作用
- カフェインとスタックによる注意力向上
- カフェインの副作用軽減
- アルファ波の増加
- BDNFの増加
脳波について
カフェインとL-テアニンは、脳波に違った影響をもたらします。これは比率次第で、変化することがラット実験でもみられています。ラット実験では、1:1の比率から、脳波レベルでカフェインの刺激性を抑制します[1]。
the results suggested that theanine has an antagonistic effect on caffeine's stimulatory action at an almost equivalent molar concentration.
また、カフェインの睡眠阻害効果を緩和することでも知られています。カフェインを遅めに飲んでしまった際は、用量依存性はないので、寝る前に少量のL-テアニンを飲んでおくと良いでしょう[2]。
low doses of L-theanine can partially reverse caffeine-induced reductions in SWS; however, effects of L-theanine on caffeine-induced insomnia do not appear to increase dose-dependently.
相乗効果・シナジーがあると言われていますが、もう一方で、カフェインの刺激性を抑制する効果についてもエビデンスがあります。
アルファ波
L-テアニンはアルファ波を増加します。リラックス状態でありながら、周囲の警戒を怠らない状態で、脳処理速度が高まるベータ波と、ウトウトした状態のシータ波の"橋渡し役"として機能しています。外部刺激により、ベータ波に容易にシフトすることが可能です(L-テアニン摂取時でも難しい課題の時は、ベータ波が増加します)。反対に、安心感が高まり過ぎると、シータ波に移行していきます。作業では、読んだり、聞いたりするインプット、または慣れている作業のアウトプット(車の運転とか)に向いていでいます。
ベータ波
カフェインはアルファ波を減少させ、ベータ波が増加します。ベータ波は脳の処理速度を高めます。難しいアウトプットを必要とする課題、慣れていない作業に向いています。ベータ波は、脳の興奮状態であり、ストレスの副作用があります。。
主観的な副作用緩和の体験談
L-テアニン効果を報告している人は、ほとんどカフェインの副作用の緩和についてです。普段、カフェインに対して副作用が感じられてないなら、スタック効果が体感できません。
同時に摂取する必要はない!
通常、2:3(カフェイン:L-テアニン)の比率で摂取しています。ただし、L-テアニンの半減期はカフェインのより短いので、同時に摂取する必要はありません。L-テアニンは1-1.25hで、カフェインは3-6hです。
Gwernの評価
L-テアニンを飲む理由は、カフェインの身体的・精神的な"twitchness(チクチク・不快なもの)"を除去する目的で摂取していて、体感では、その効果を感じることができています。
My goal was to eliminate the physical & mental “twitchiness” of caffeine, which subjectively it seems to do.
ウトウトするなら1:1
1:1がベストです。その理由は、1:2(カフェイン:L-テアニン)だとウトウトしてしまいます。1:1は、常にシャープな感じを保つことができます。いろいろな比率を試すことをお勧めします。
- 単体では、L-テアニンは慣れているインプット作業に、カフェインは慣れていないアウトプット作業に向いている
- カフェイン:L-テアニンの1:2の比率は、カフェインの刺激性を抑制し、外部刺激が不足するとウトウトしやすい
- スタック効果の報告は、ほとんど主観的なカフェインの副作用緩和について
- Inhibiting effects of theanine on caffeine stimulation evaluated by EEG in the rat.
- L-theanine partially counteracts caffeine-induced sleep disturbances in rats.
the results suggested that theanine has an antagonistic effect on caffeine's stimulatory action at an almost equivalent molar concentration







